翻訳蒟蒻

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iPad 2: 語られなかった事実

PCWorldに3月2日に掲載された記事を訳しました。

ついにiPad 2が発表されました。アップルの秘密主義にもかかわらず、以前からそのスペックに関するリーク情報が出回っていたので、正直驚くべき点はあまりありませんでした(2色というのは驚きましたが)。解像度が変わらなかったことと、SDカード搭載の噂が噂に終わってしまったことは、むしろ残念でした。iPad 3が今年中に出るのでは、というこれまた噂が根強いので、初代のiPadユーザーはそちらを待つ人も多いのではないのでしょうか。

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iPad 2: 語られなかった事実
By Ian Paul, PCWorld Mar 2, 2011 2:47 PM

次期バージョンのiPadが、3月11日の午後5時にお近くのアップルストアにやってくる。アップルの新しいiPad 2の特長は、アップルブランドの1GHz版A5デュアルコアプロセッサと、解像度1024×768の9.7インチスクリーン、前面と背面にカメラが付き、HDMI経由で1080pのビデオ出力をサポート、10時間のバッテリーライフ、加速度計と3軸ジャイロ、そしてGSMCDMAの3G接続オプションだ。iPad 2は黒と白の両色がそろっている。

以上はアップルが語ったこと。では、アップルが語らなかったのは?この水曜日、アップルは同社の将来の方向性に関していくつかの興味深い点をほのめかした。ここに挙げるのは、メディアではあまり語られないかも知れないが、十分注目に値するいくつかの点だ。

ポストPC

ポストPC時代にようこそ、少なくともアップルによればそうらしい。同社のCEOであるスティーブ・ジョブズとその他の役員達は、水曜のiPad 2発表会の場で、実に苦しげに「ポストPC」という言葉を使った。「ポストPC」が何を意味するのか理解するためには、6月のD8カンファレンスにジョブズが登場したときのことを振り返る必要がある。「PCはトラックみたいなものだよ」ジョブズはD8で語った。「まだ無くなりはしないだろうけど…限られた人たちだけが使うものになるだろうね。」アップルは、ほとんどの人がタブレットをメインのコンピュータデバイスとして使い、ラップトップやデスクトップのような伝統的なPCにしがみつくのはごく限られた人々だけという時代が来ることを期待している。どうやらアップルは、このPCからタブレットへのスイッチが今年起きることを期待してさえいるらしい。2011年を「iPad 2の年」と呼んで。

しかし、ポストPCの世界なんてやってくるのだろうか、また、そんな世界に意味はあるのだろうか?iPadは、気軽にウェブサーフィンをしたりビデオを見たり、ちょっとした電子メールのために使うには素晴らしいツールだ。しかし、ウェブで調べ物をしながらワープロの文書を書くような時に、デスクトップPCのようにウィンドウを素早く切り替えたりするのには向いていない。

とはいえ多くの批評家は、iPadモトローラのアンドロイドベースのXoomのようなその他のタブレットが、PCの市場からかなりの割合を今年中に奪うはずだと考えている。市場調査会社のIHS iSuppliは水曜日に、PCデバイスで最も一般的なストレージであるハードディスク(HDD)の需要が急落している最大の理由がタブレットだと語った。IHI iSuppliは、2011年の最初の3ヶ月間で、HDDの需要は3.9パーセント低下するだろうと予測している。同社によれば、ネットブックはとりわけ脆弱で、タブレットデバイスの需要の影響を受けるはずとのことだ。

このポストPC騒動には一つの問題がある。iPad 2が真にポストPCデバイスであるなら、なぜアクティベーションのためにPCが必要なのだろうか?

Honeycombの驚異

水曜のiPad 2イベントの中で、ジョブズはグーグルの新しいモバイルOSであるAndroid 3.0(Honeycomb)を狙い撃ちにした。アップルのボスは、iPadには65,000ものネイティブなアプリがある一方で、競争相手のアプリはせいぜい100程度だと指摘した。ジョブズはまた、iPadは価格や知名度の面でもAndoroidよりも上だと主張した。少なくとも今のところ。

2010年、アマゾンと実際に競合したのは7インチディスプレイを持つサムソンのGalaxy Tabだけだ。しかしながら、Honeycombの登場により、今年はXoom、Galaxy Tab 10.1、LG G-SlateそしてDell Streak 10のようなHoneycomb陣営の競合製品、さらにはResearch In MotionのBlackberry PlaybookやWebOXを搭載したTouchPadまで数々登場し、アップルも競争の激化を明らかに感じているようだ。

iOS Xへの道

アップルは、Nitroと呼ばれるOS XJavaScriptエンジンをiOS 4.3に移植した。これにより、ウェブブラウジングはiOS 4.2に比べて2倍の速さにまでなった(ブラウザの速度は一般的にJavaScriptレンダリング能力に依存する)。

iOSOS Xをベースにしているので、それぞれの間で機能を入れ替えたり共有したりできる、これがまさにアップルの最新の流れだ。10月、アップルは次期OS X通称ライオンの予告版を公開した。このイベントの主旨は、アップルがiOSの素晴らしい点をいかに新たなデスクトップOSに移行するかというのに尽きていた。例えば、より進んだマルチタッチインテグレーションやiOSスタイルのホームスクリーン、そしてほとんどのアプリをフルスクリーンモードで表示するなど。

二つのOSが機能がマージしてゆく中(アップルがポストPC時代に関して繰り返し語るのに加え)、全てのアップル製品のOSが統合されるのはいつのことだろうと考えざるを得ない。

HDMI出力はビジネス向けオンリー

iPad 2が、HDMIを経由して外部ディスプレイにHD映像を出力できるのは、家庭で写真を見るのには適しているかも知れない。しかしアップルの狙いは、iPadビジネスパーソンや教師やプレゼンテーションに多くの時間を費やす全ての人たちにとってのマストアイテムにすることだ。アップルはiPad 2がビジネスや教育のプロにとって理想的なガジェットだということを説明するため、専用のページを二つ追加している。

インテルへの秒読み?

2010年1月に初代のiPadが登場して以来、アップルは自社のプロセッサーをモバイルデバイスに搭載してきた。iPad 2もこの流れを受け、アップル製の1GHzデュアルコアA5プロセッサーを搭載したし、6月のリリースが噂されるiPhone 5もこのチップを積む可能性が高い。アップルによると、新しいA5プロセッサーはシングルコアのA4チップに比べて2倍速く、グラフィックの処理速度は9倍とのことだ。

今のところは、アップルのプロセッサーが搭載されているのはモバイルデバイスのみだ。問題は、アップルが、Intelのチップに代わるMac用のデスクトッププロセッサーを開発し始めるかどうかだ。

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ソース: PCWorld - The iPad 2: What Wasn't Said By Ian Paul, PCWorld Mar 2, 2011 2:47 PM (http://www.pcworld.com/article/221215/the_ipad_2_what_wasnt_said.html)