翻訳蒟蒻

海外のネットの記事などを翻訳します

アップルはキンドルの電子書籍を閉め出すか?

オンライン版PCWorldに2月7日に掲載された記事を訳しました。

キンドルのヘビーユーザーとしては、キンドルアプリがiPhoneiPadで使えなくなるのは困ります。キンドルの良さは、この記事の中でも触れられているとおり、購入した本を様々なプラットフォームで読めることにあるので。今後も注目して行きたいと思います。

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アップルはキンドル電子書籍を閉め出すか?
分析:アップルのライセンスポリシーの変更により、よそで購入した電子書籍がアップル製品で読めなくなる可能性が高まっている。
By Harry McCracken, Technologizer    Feb 7, 2011 1:03 am / PCWorld

本を買おうと思った。最近はいつもそうだが、金をポンと出す前に、まずはアマゾンでキンドル用の電子版が出てないかチェックした。それなら、キンドルだけじゃなく、iPadでもiPhoneでもアンドロイド携帯でもMacでもPCでも読めるから。電子版は出ていた。私の指は本能に従い、1-Clickのボタンに一直線に向かった。

その瞬間、ふと我に返った。というのも、アップルと言えば、電子リーダーアプリの開発者たちに、本を売るなら最近開発されたアプリ内購入の機能を使えと要求するつもりのはず。キンドルの本がアップル製品上でどうなる運命かなんて分かったものじゃない。(アップルが言うには、電子リーダーは、アプリ内購入もサポートしておけば、よそで買った本でも読めるとのこと。Appストアの承認ガイドラインに反してるけど。)*1

この数年で、私はキンドルの本に7~800ドルは使ってきた。最近じゃあ、そういう本の読書時間のだいたい80パーセントはiPhoneiPadが占めている。アップル製品で読めない電子書籍なんて、全くもって無価値だ。なのに、アマゾンやバーンズ&ノーブル、グーグル、Koboなんかが提供しているアップル対応電子リーダーアプリがどうなるかが見えない。

現時点では、アップルはサードパーティーの販売業者に対して、Appストアのアプリ内購入経由での売り上げから30パーセントの手数料を取っている。でも、ロイターのアーロン記者が以前の記事に投稿したコメントによると、電子書籍の「エージェンシー価格」方式だと、アマゾンやその競合には書籍の価格の30パーセントしか入ってこないという。言い換えれば、30パーセントの取り分を主張しているアップルは、もうけの全てを要求しているようなものだ。うまくいくわけがない。

アップルが妥協案を用意している可能性はある。たとえば書籍の価格の30%よりもずっと低い手数料をアマゾンやその他の販売業者に請求するとか。(ニューズ・コープが今週発表したThe DailyというiPad向け新聞の発表会で、アップルのインターネットサービスのボス、エディー・キューが、コンテンツの定期購読モデルについて発表があるようなことを言っていたが、多分一部売りもやるだろう。)

実はアップルが、アマゾンその他の電子書籍販売業者とすでに計画を握っているという可能性はある。計画段階で彼らの意向を汲んでさえいるかも。それか、アマゾンその他は、アップルの新しい契約条件から抜ける戦略なのかも知れない。アップル製品には見切りを付けて、例えばスレート・マガジンのファラート・マンジューが提案しているみたいに、ウェブ・ベースの読書アプリを開発するとか。何とも言えないね。で、この手のことに対しては説明を曖昧にするアップルの性癖ゆえ、いつになったらはっきりするのかもわからない。

それと、既存の電子リーダーアプリ、たとえばiPhoneiPad向けのキンドルアプリなんかが今後どうなるかも不明だ。私の想像では、アップグレードさえしなければ、今のバージョンをそのまま使えて、いつまでも私のキンドル蔵書を読めると思う。でも楽観はできない。

最良のシナリオは、全てがうまくいって、アップルもアマゾンも消費者もみんな共生できるようになることだ。最悪のケースは、キンドル電子書籍が、マイクロソフトのPlaysForSureテクノロジーでカギをかけてしまった音楽データみたいになってしまうことだ。アップル製品以外ほとんど全ての機械で再生できるけど、市場を独占しているのがアップル製品だという。

いずれにせよ、2ヶ月ぐらい前からやっているアマゾンの広告「買うのは一度、読むのはどこでも」というのの中で、女性がiPhoneを捨ててAndroid携帯に乗り換えても「莫大なキンドルライブラリ」はそのまま持ってゆけるというのが、急に全く新しい意味に思えてきた・・・

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結局、例の買いたかった本はキンドル版をポチッとした。でも、「莫大なキンドルライブラリ」が使えなくなってしまうかも知れない件については、まだモヤモヤしたままだ。紙製の本は、電子書籍よりも値段も高いし場所も取る、それでも良いところがある:買うのは一度、商品の価値に変更はございません・・・

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ソース: PCWorld - Will Apple Close the e-Book on Kindle? By Harry McCracken, Technologizer Feb 7, 2011 1:03 am (http://www.pcworld.com/article/218853/will_apple_close_the_ebook_on_kindle.html)

*1:この部分、少々わかりにくいのは訳のまずさのせいです。ネットで見つけた他の記事によれば、読書アプリがキンドルのように外部でコンテンツの購入をするようなものである場合、同時にアップルのアプリ内購入機能もオプションとして提供しなさい、ということみたいですね。キンドルがアプリ内購入をサポートするか否か、キンドルのヘビーユーザーとしては気になるところです。