翻訳蒟蒻

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スティーブ・ジョブズのメールによれば、アプリ内サブスクリプションは「ソフトウェア・アズ・ア・サービス」モデルには適用されない?

2月22日にMacRumorsに掲載された記事を訳しました。

またしてもアップルのサブスクリプションがらみですが。新しいルールが適用される範囲について、これまで主に出版社の提供する電子書籍や新聞、雑誌などのアプリがその対象として考えられてきました。しかしながらここに来て、有料サービスを展開するSaaSベンダーが提供するアプリも対象になるのでは?という議論が起きています。例えばこことか。しかしながら、このMacRumorsの記事によれば、スティーブ・ジョブズ自身がSaaSは対象外と否定しています。

30%課金やアプリ内購入のオプション強制は出版アプリかそうでないかがその分かれ目になるわけですが、アプリの性質によってはグレーなところが出て来るようですね。

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スティーブ・ジョブズのメールによれば、アプリ内サブスクリプションは「ソフトウェア・アズ・ア・サービス」モデルには適用されない?
Tuesday February 22, 2011 02:14 AM EST Written by Arnold Kim / MacRumors

アップルから先週発表されたApp Storeサブスクリプションの導入は、ネット中に論争の種をばらまいた。問題は、アップルのポリシーによれば、出版社は全てのサブスクリプションについて、アップルのアプリ内購入システムでも同じものを提供しなければならず、その場合は30%のマージンをアップルに取られるという点。さしあたり出版社はApp Storeの外でもサブスクリプションを販売できる(そして売り上げの100%をキープできる)が、その販売価格はApp Storeでの価格を下回ってはならない。発表の原文は次の通り:

「基本的な考え方はシンプルです--アップルが顧客をアプリに連れてくれば、アップルは30%のマージンを頂きます。一方、出版社が既存顧客または新規顧客を連れてきた場合、100%出版社側の取り分となり、アップルの儲けはゼロです。」アップルのCEOスティーブ・ジョブズは語った。「必要なのは、出版社がサブスクリプションをアプリの外で提供する場合、同じ(かそれよりも良い)条件でアプリの中でも提供しなければなりません。顧客がアプリの中でワンクリックで簡単に購読できるようにするためです。

発表の原文は特に出版社に向けた文言だったため、「ソフトウェア・アズ・ア・サービス」(SaaS)が考慮されていないのではないかという懸念が広まりつつあった。例えばDropBoxSalesForceのアプリの様に、定期的にサブスクリプション費用が発生するサービスなどがそれだ。

問題が発覚したのは昨日の朝。Readibilityのアプリが、新たなサブスクリプションの条件に引っかかり、却下されたのだ。Readabilityは、オンラインコンテンツのごちゃごちゃを整理し、広告を取り除いて読みやすくしてくれるサービスを月5ドルで提供している。Readabilityの見解によれば、却下の理由はアップルがコンテンツの提供サービスだけでなく、ソフトウェアサービスのアプリもターゲットにしているからだ。

しかしながら、DaringFireballのジョン・グルーバーはこの却下に異なる解釈を示している。Readabilityは単なる出版社モデルであり、従ってアップルの新たな契約の対象だというのだ:

私が何か見落としているのかも知れないが、アップルが30%のマージンを取るのに驚き落胆したと言うけれど、そもそも彼らのビジネスモデルはサブスクリプションから30%のマージンを取ることにあるのだから、それこそ驚きだよ。それに、Readabilityは「コンテンツの提供」はしていないなんてよく言うよ。それこそまさにReadabilityがビジネスにしていることじゃないか。

しかしこのように考えているのはReadabilityだけではない。スクリーンショット共有サービスのTinyGrabは今日、新たなサブスクリプションシステムに関わる制限のせいで、iOSベースのアプリ開発を継続できなくなると表明した。TinyGrabはプレミアムサブスクリプションを提供しており、有償の顧客に対して追加の容量と機能を提供している。

OS XiOSのアプリケーション革命に是非とも参加したいのだが、もはや無理らしい。アップルが問題を解決して、我々を受け入れてくれるようになるまではね。

最後になるが、Instapaperの開発者のマルコ・アーメントもまた、アップルの新しいポリシーがSaaSに影響を及ぼすと考えているようだ。アーメントは、EvernoteやDropBoxSalesforce、LinkedInそして37signalsなどをサポートするアプリが、アプリ内でのサブスクリプション購入をサポートしていないがゆえに削除されるのだろうかと問いかけている。

とあるMacRumorsの読者がやはりこのことに疑問を感じ、アップルのCEOスティーブ・ジョブズに以下の質問をメールで投げかけた:

スティーブへ


フルタイムのiOS開発者として、新しいApp Storeの「サブスクリプションを提供するアプリ」(セクション11.12)の件について疑問があり(そして混乱してい)ます。


私がいくつかの会社と契約して開発してきたiOSアプリは、ほとんどの場合無料アプリで、ユーザーがログインするスクリーンがあり、一定のプライベートデータにアクセスすることができるものです。どれも名のある会社で、顧客向けにある種のサービスを売っていて(ソフトウェア・アズ・ア・サービスの会社)、iOSアプリは単にユーザがそのデータやサービスにアクセスするための「入り口」の一つに過ぎないというわけです(大体は、いわゆる「モバイル」的な制限がつきますが)…。たとえばSalesForceがその例です。私の心配は、仮にアプリ内購入のポリシーが施行されれば、これらの会社のほとんどが顧客向けiOSアプリの開発をやめてしまうのではないかということです。


こういうタイプの無料アプリは、今後もApp Storeで許可されるのでしょうか、それともアプリ内購入を使わなければならないのでしょうか?

これに対してスティーブ・ジョブズは返信したが、いつも通り短く、そして残念ながら今イチはっきりしない回答だった:

サブスクリプションは出版アプリ向けで、SaaSアプリ向けではない。


iPhoneから送信

これを読む限り、我々の解釈によれば新たなアプリ内サブスクリプションのルールはSaaSには当てはまらない。また、新しいガイドラインやアップルがリリースしたプレス向けの資料などに目を通しても、どれも明確にコンテンツの出版社に向けたものばかりだ。

この解釈に基づけば、例えばDropBoxやTinyGrabのアプリにさえ、新たなルールは適用されないだろう。Readabilityの却下は、しかしながら、出版社とサービスプロバイダーのケースの間に、やや不明瞭な境界線が存在することを示している。願わくば、アップルに対してこの問題に関するより明確な説明を望みたいところだ。

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ソース: MacRumors- Steve Jobs Email Suggests In-App Subscriptions Don't Apply to 'Software As a Service'? Tuesday February 22, 2011 02:14 AM EST Written by Arnold Kim (http://www.macrumors.com/2011/02/21/steve-jobs-email-suggests-in-app-subscriptions-dont-apply-to-software-as-a-service/)